
新居で寛ぎ、英気を養ったアニリン。
グレイビアードの試練のクリアの為、次はウステングラブを目指して旅立つのであった。




アニリン「うん? 何だあれ?」

道端で喚く道化師のような男を発見したアニリン。
どうやら何か問題を抱えているようだ。
アニリン「どうしたの? 何か問題?」


アニリン「あー……良かったら、力になろうか?」



アニリン「あの農場ね、分かったわ」
エセル「おい、こいつ大丈夫なんだろうな?」
アニリン「さぁ? でもお金はきちんと払いそうな感じだよ」
リディア「何を見てそう言っておられるんですか?」


アニリン「こんにちは。そこの道端で立ち往生してる小男のことだけど……」


アニリン「そんなに嫌? 報酬は期待出来そうだったよ?」
ヴァンタス・ロレイウス「カネの問題だと思っているのか? 奴の姿をどう思う?」
アニリン「いや、怪しいのは確かだけど」
ヴァンタス・ロレイウス「そうだろう! 完全にイカレてるんだ。道化師? このスカイリムで? ここ100年、この辺りにあんなのは居なかった」
エセル「実際どうかは兎も角、確かに初めて見るタイプだったな」
ヴァンタス・ロレイウス「それに奴はデカい箱を運んでる。棺だとかで、母親を埋葬するんだそうだ。怪しいもんだ」
エセル「まぁ棺桶っていうのは密輸業者の手口の一つではあるな」
ヴァンタス・ロレイウス「そうだ。何が入ってるか分かったもんじゃない。戦利品、武器、スクゥーマ。そんなことには一切関わりたくないんだ」
アニリン「でも、実際のところ彼は困ってるよ? 助けてあげてくれない?」
ヴァンタス・ロレイウス「一体何様のつもりだ? ええ? ひょこひょこ現れて指図するつもりか? 何故あの……バカを助けなきゃならない?」
アニリン「彼は助けを必要としてる余所者よ。助けてあげるべき、って分かってるんじゃない?」
ヴァンタス・ロレイウス「いや、しかし……」
アニリン「マーラの慈愛にかけて、困ってる人には手を差し伸べてあげるべきじゃない?」
ヴァンタス・ロレイウス「そう……だな。その通りだな。奴が変わり者だろうが何だろうが、助けを必要としているのは確かだ。それを無下にして良い筈があろうか」
エセル(なんで丸め込まれたんだこいつ……)
ヴァンタス・ロレイウス「悪かったな。これまでの態度は謝罪するよ。シセロに会ったら、すぐに行くと伝えてくれ」
アニリン「うん、ありがとう。よろしくね」

アニリン「話つけてきたよ。助けてくれるってさ」



アニリン「どういたしまして。じゃあね」

エセル「寒くなってきたな」
アニリン「そう?」
エセル「お前はノルドだしなぁ」



エセル「む、砦だ」
リディア「ダンスタッド砦ですね」
アニリン「居るのは帝国軍? ストームクローク?」

エセル「……山賊だな」



ダンスタッド砦を抜け、更に北上するアニリン達。
日が傾き出した頃、ドーンスターに辿り着いた。


宿屋で一泊し、再出発。
目指すは西の湿地帯、ハイヤルマーチ地方。


道端でハチミツ酒を飲む陽気な一団に出会う。
アニリンは一瞬考えた後、明るい声で答えた。
アニリン「2本ボトルがあるのに、どうして1本しか開けないの?」


エセル「毎度思うが、妙に口が上手いよなお前」
アニリン「そうかな」
元々盗人なので、隠密行動やピッキングに並んで人を騙したり口車に載せたりするのが得意なアニリン。
エセルの言い分ではどうにもノルドらしくないということらしいが、「重装魔法戦士のブレトンなのに治癒師を名乗る女に言われたくない」と内心思うのであった。
ともあれ、ウステングラブに辿り着いたアニリン達。
周囲に居た山賊達……の死体と、それを操るコンジュラー達を片付け、遺跡の中へ。




リディア「古代ノルドの墓所のようですね」
アニリン「うん……ん? シーッ、何か居る」

コンジュラー「起き上がらせる度、奴らは知性を失うみたいだ」
素人死霊術師「まぁ穴を掘る程度の知性が残っていれば問題ないでしょう」
コンジュラー「そうだな……ん?」


アニリン「……行ったみたい」
エセル「山賊の死体を使って何か発掘しているようだな。連中も何か探し物か?」
アニリン「分かんない。ユルゲン・ウィンドコーラーの角笛以外にも何かあるのかな」

取り敢えず利用されている山賊達を今度こそ永遠の眠りに就かせ、奥へと進む。




アニリン「ドラウグルと戦ってたみたい」
エセル「これで全部か?」
リディア「奥にもまだドラウグルの死体がありますね」
アニリン「まだ奥に連中の仲間が居るのかもしれないね」
エセル「ああ。警戒しながら進もう」



アニリン「広いなぁ。木まで生えてるし」
リディア「どうやら天井に穴が開いているようですね。そこから日の光や雨が入って、成長したようです」
アニリン「なんだかこの中暖かいしね。凄いや」




アニリン「ん、あれは……」



アニリン「霊体化……霊体になる?」
リディア「霊体、ということは身体が透明になると?」
アニリン「多分そんな感じ?」
エセル「相手を吹き飛ばしたり、自分が高速移動したり、そういう効果ばかりかと思っていたが、そんなシャウトもあるんだな」

アニリン「さてこれは……」
エセル「お前がこの石に近寄ると奥の格子が開くようだな」
アニリン「成程。楽勝だね」


アニリン「あれ、閉まっちゃった」
リディア「離れると閉じる……しかもかなり時間が短いようね」
アニリン「普通に走っても間に合わないか……」


アニリン「それならこいつでどうよ。Wuld!」

アニリン「やったー、抜けた!」
エセル「成程、ドラゴンボーンでなければ通れないわけか」
リディア「格子も閉まらなくなりましたね。行きましょう」

アニリン「この通路は?」
エセル「床中あの火が噴き出すパネルだらけだぞ」
アニリン「通れるように出来てんのこれ??」
リディア「試しにそこの干からびた死体を放り込んでみては?」


アニリン「……駄目だね」
エセル「うーむ、そこの岩場を伝っていくしかないか?」
リディア「従士様はシャウトを使えばあっさり通れるのでは?」
アニリン「……あっ、そっか。霊体化すれば!」


アニリン「抜けた抜けた! エセル達も早めに来てね!」
エセル「任せろ!」
奥に待ち構えていたのはフロストバイト・スパイダー。
エセル達が合流してくる前に、手早く片付ける。


エセル「ここが一番奥か?」
アニリン「そうみたい」






アニリン「あれが、ユルゲン・ウィンドコーラーの角笛……あれっ?」


アニリン「な、何これ!? 出し抜かれた!?」
エセル「先客が居たようだな。角笛らしきものはどこにも見当たらない。恐らくそのメモを残した誰かが持って行ったんだろう」
アニリン「何よそれ? ここまで来た私達の苦労は一体何なの!?」
リディア「意図は分かりませんが、兎も角この人物に会ってみるしかありませんね」
アニリン「ぐぬぬ」

アニリン「そいつに会ったら、何て言ってやろう……」
そんなことを考えながら、ウステングラブのすぐ外で野営するアニリン達であった。
次回へ続く。
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